プレシジョンジャンプのコツ|狙った場所に止まれない人へ
プレシジョンジャンプって簡単そうに見えて、実はめちゃめちゃ難しいですよね。
簡単そうというか、難易度の幅が無限大だから逆に言えば初心者でも練習しやすい技ってことになります。かつ、どんなに上級者になっても挑戦し続けることができるっていう。
だから、大きな事故を起こさないためにも、コツコツ練習するのが大事な技なんじゃないかと思うわけです。
ただ、初心者を見ていて思うんですけど、プレシジョンっていう技をそもそも勘違いしてる人が多い。
プレシジョンは「遠くへ跳ぶ技」じゃないんです。
狙った場所にピタッと止まる技なんです。
ここを取り違えると、いくら練習しても上達しません。今回はこの話を軸に、コツを解説していきます。
初心者あるある:距離ばっかり気にしてる
初心者を見ていて一番多いのが、
- とにかく遠くに跳ぼうとする
- 腕の使い方を意識してない(or知らない)
このパターンです。
特に「遠くへ」の意識が強すぎる人は、ほぼ確実に伸び悩みます。理由はシンプルで、プレシジョンは遠くへ跳んでも止まれなければ成立しないからです。立ち幅跳びなら飛距離だけで勝負がつきますが、プレシジョンは「狙った場所に乗って、止まる」までが1セット。一歩でも前に出たら失敗です。
だから必要なのは距離を出す力じゃなくて、距離をコントロールする力。これは別物です。
そしてコントロールには、腕の使い方、脚の使い方、特に着地の処理が効いてきます。順に見ていきます。
プレシジョンのコツ
腕の使い方
ジャンプ動作における腕の役割が大切だってことは、研究でも繰り返し示されていて、専門家のあいだでは常識なことではあります。でも実際に練習している人で、ちゃんと意識できている人は意外と少ない。
具体的にどんな役割があるのかというと、
- 踏み切りで跳ぶ力を助ける
- 空中で姿勢を保つ
- 着地で体を止める
の3つです。
ここではジャンプの時に腕にもちゃんと役割があるんだよ、だから上手に使うんだよっていうのが分かればOK。ただ言われるからやるのと、理解してやるのって、結果が全然違うんで。
では実際にどうやって使うかっていうと、プレシジョンの流れに沿って解説してみますね。
①踏切
いったんジャンプする方向と反対に振って反動をつけてから、脚の伸びに合わせて下から上へ振り出します。
ここでのコツは、腕の筋力で跳ぼうとしないこと。腕を力いっぱい振り回しても跳躍力は上がりません。むしろ大事なのは、振り上げと脚の伸びのタイミングを合わせることです。タイミングさえ合えば、腕の勢いが体に伝わって、結果的に脚がより大きな力を発揮できます。
「腕で跳ぶ」のではなく「腕で脚を引き出す」感覚を探してみてください。
②空中
踏み切りで振り上げた腕は、その位置でキープします。
プレシジョンでは空中で脚を抱え込んで、足を着地点に運ぶ動きが入ります。このとき腕がバタバタ動いてしまうと、体幹がブレて、足を狙った場所に運べません。腕は「振り上げた位置で固定する」くらいの意識で、体幹のブレを抑える役を担ってもらいます。
③着地(ここが一番大事)
プレシジョンの腕の使い方で、一番効くのがここです。
着地の瞬間、振り上げた腕を使ってバランスを取り、頭と体を足の真上に戻します。これができると、前のめりに崩れず、ピタッと止まりやすくなります。
逆に、腕を体の横につけたまま脚だけで着地を処理しようとすると、体の傾きを抑えられず、止まりきれずに一歩前に出てしまいます。プレシジョンで一歩出る原因の多くは、脚ではなく腕にあると思ってください。脚は頑張っていても、腕がサボっていると止まれないんです。
詳しいことはまた別記事で解説したいと思います。
脚の意識
脚はもういうまでもなく、直接的に床を蹴り出して、着地時も衝撃を直接的に吸収するわけですから大事ですよね。
①踏切
これはもう有名な話ですが、ジャンプで大事なのはトリプルエクステンションって言って足首・膝・股関節を同時に伸展させることです。膝だけじゃない!股関節も、足首も大事ってことです。
で、爆発的に伸展させるためにはゆっくり深く沈み込むのはNGです。素早く沈み込んで即座に弾くんですね。
②空中
空中では軽く脚を抱え込むイメージでいるといいと思います。
そうするとコントロールしやすい。だから、着地位置を捉えやすい。
③着地(ここが一番大事)
プレシジョンが「止まる技」である以上、脚の役割もやっぱり着地が核です。
まずしっかり着地位置を捉えてください。基本ですが、着地は踵じゃないですよ。母指球あたりで床を捉える。
そこから、足首・膝・股関節をなるべく時間をかけて屈曲させて、床からの衝撃をやわらげます。ちなみになるべく時間をかけてっていうのは1秒以下の世界です。
ドン!じゃなくて、スッっていう感じに着地できるか。ここがプレシジョンの上手い下手を分けるポイントです。3つの関節を順番に、滑らかに屈曲させて衝撃を吸収する。これができないと、勢いが体に残って一歩出ます。
母指球で捉える → 足首が曲がる → 膝が曲がる → 股関節が曲がる。この流れを意識してみてください。
ちなみに、着地の基本や衝撃をやわらげる方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→パルクールの着地音が大きい原因|初心者が静かに着地する練習法
距離とコントロールの関係
ここまで腕と脚の話をしてきましたが、プレシジョンを語る上で一番大事なのがここです。
プレシジョンはただの立ち幅跳びと違って、基本的には狙った場所に着地しないといけません。ただ跳べばいいってわけじゃない。跳ばなすぎてもいけないけど、跳びすぎてもいけない。
だから、自分がどのくらい跳べるのかを把握しておくのはもちろん、どうやって跳んだら狙った場所に着地できるのかっていう、いわば体の実践知みたいなのを作っておく必要があります。
この辺については、私の専門である発生運動学(動きの感覚を扱う分野)で色々解説したいので、興味があったらnoteの方も読んでみてください。
100%出すと、コントロールは消える
ジャンプに限ったことではないですが、何事も何かを100%にしちゃうとその他の要素がなくなっちゃうんですよね。
どういうことかっていうと、例えばプレシジョンなら、距離を出すことに全力になると着地姿勢のコントロールができなくなる。
マックスで250cm跳べる人が250cm先に着地しようとしても余裕がないから、着地の緩衝動作はあまりコントロールできない。でも、200cm先にだったら静かに柔らかく、着地位置をちゃんと狙って着地できる。
つまり、コントロールを残すためには、最大距離の8割程度に抑えて跳ぶのが目安になります。残りの2割は、腕で姿勢を整えたり、脚で柔らかく着地したりする余裕として使う。
練習で意識すること
これを踏まえて、練習で意識してほしいのは、
- まず自分の最大距離を知る(これは安全な場所で1回測ればOK)
- そこから2割引いた距離を狙って跳ぶ練習をする
- 「跳べる」と「止まれる」が両立する距離が、いまの自分のプレシジョン距離
最大距離=プレシジョン距離じゃないんです。止まれる距離が、本当の自分のプレシジョン距離。ここを勘違いしないでください。
距離を伸ばしたいなら、最大距離そのものを伸ばす(脚力を上げる、跳躍効率を上げる)。これは別のトレーニングです。プレシジョンの練習中に「もっと遠くへ」を狙うと、止まれない癖がつくだけで、上達につながりません。
ちなみに、跳ぶことよりもコントロールが重要という点は、コングヴォルトにも共通していますね。
→コングヴォルトで手が届かない原因|前に出られない人のための練習法
一番大事なのは全身の連動
腕と脚の使い方を分けて説明しましたが、最後にひとつ強調しておきたいのは、一番大事なのはそれらが連動していること。
ジャンプは全身運動ですから、脚だけとか腕だけってことじゃないんです。脚の使い方を支えてるのが腕ってわけです。
脚と腕のタイミングって大事ですよ。
まとめ:プレシジョンは「止まる技」
プレシジョンは、遠くへ跳ぶ技ではなく、狙った場所に止まる技です。
距離は手段、止まることが目的。ここを履き違えないだけで、練習の質がガラッと変わります。
次の練習では、最大距離の8割を狙って、ピタッと止まることだけ意識してみてください。距離を伸ばすのは、それができるようになってからで遅くありません。
あとは怪我を防止するためにやるべきトレーニングとか、跳躍力を上げるためにおすすめのトレーニングとかもあるので、それもまた別記事で書けたらいいなーってな感じです。
それでは。
パルクールをこれから始める方は、こちらの記事も参考にしてください。
→パルクール初心者は何から始める?必要な準備と最初の練習ステップ
